「先手必勝」
いまや国民病となった感のある花粉アレルギーですが、発症してからあわてて医療機関（耳鼻科とは限らない）に駆けつけるのでは、すでに待合室は患者さんであふれかえっていて、不愉快な鼻の状態のまま診察までの長い時間を待たなければならなくなります。
毎年かならずくしゃみ・はなみず・はなづまりに悩まされる方は、症状がでるまえに耳鼻科を受診し投薬をうけておかれることをおすすめします。
2月を過ぎたあたりからぼちぼち耳鼻科へ行ってクスリをもらっておこうかと。そのころならまだ外来はそんなに混んでいません。そしてぼちぼち発症前の治療を始めておかれれば、花粉が飛び始めてもうんと楽です。私自身が杉花粉を含めアレルギー性鼻炎患者ですので、患者さんのつらさは理解しているつもりです。

「先手必勝」とはなにを「おおげさな」とおもわれる向きもありましょうが、いちど試されてはいかがでしょうか。

もう１年半以上まえから、溶連菌による咽頭炎・扁桃炎の患者さんがあとをたちません。
幼児から老人まで広い年齢層にひろがっています。私は昭和58年より当地で診療していますが、血液検査をしてみると、過去に例のないくらい高い値を示す患者さんが多いです。県の感染症情報をみていると、「溶連菌感染症、東予地区で多発」と書かれていたのが、「中予地区で多発」次に「南予地区で多発」と他地区に移っていってくれたようでも、しばらくすると「東予多発」となっていました。これを繰り返しています。事実患者さんはまだまだ多いようです。
いちおう、合成ペニシリンを処方していますが、きちんと内服してくださっているかが気になります。
４日ぐらいクスリをのむと楽になって、残りをのみ忘れてしまう患者さんもすくなくないようです。

最近某週刊誌上で、作家の渡辺淳一氏が魚骨をのどにひっかけた話を書いておられました。
氏はもと整形外科医ですので、読者は医学的知識に基づいて書かれたものと理解すると思われますが、耳鼻科医としてはちょっと困る内容でした。魚骨がのどや食道に刺さってしまう事故はよくあります。昔から「ごはんを丸飲みする」とか「水で流し込む」とよいといわれていますが、これがじつは危険なのです。魚骨が扁桃や舌の付け根に引っかかっているだけのときならば、上記の方法でもとれることもありましょうが、食道に刺入した場合「ごはんの丸飲み」は例えれば「釘を金槌で打ち込む」ように魚骨をさらに深く押し込むことになりかねません。食道の壁は大変うすいので容易に穴があいてしまいます。穴があいてしまったことに気付かず飲食すると、その穴から細菌を含んだ食道の内容物が漏れ出て、食道の周囲が化膿してしまいます。食道は縦隔という胸の中心部を通っており、そこには心臓・大動脈・気管など大事な器官がありますので、ここが化膿してしまうと命にかかわることにもなりかねません。

魚骨に限らずのどになにかをひっかけてしまったときは、無理はなさらずそのまま耳鼻科を受診されることをおすすめします。